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見えてるものが違う?
子どもの頃、なんだか少し不思議なことがありました。「あれは自分の見間違えなんだろう…」と考えてましたが、記憶の中では未だ鮮明に残っています。
人の眼はそれぞれ”認識できる色の数が違う”なんて言われてます。だから自分が赤だと思っている色が、隣にいる人にも全く同じ色に見えているとは限りません。
もちろん隣にいる人に確認しても、その人にとって「赤」なら、お互いが赤を見ているということになります。しかし本当に全く同じ赤を見てるのか?を確認のしようが無いと思うと、少し不思議ですよね(^^;)
色とか形レベルではなかった…。
色の話は容易に理解できますが、自分が子どもの頃にあった”見間違え”は未だに理解できません。
全否定されることもある事柄ですが、未だに脳内に映像として記憶が残っているので、自分では「見間違えではなかったのでは?」と思います。
子どもは、見てないものも見たと感じてしまう。作り出してしまう。だから、嘘つき呼ばりしてはいけない。なんて教育論もあるけど、いや…見たはずなんです。
見た気になってるだけなんだと言われればそれまでですが。本人にしか判らないから、これもまた確認の取りようが無いんですねぇ…。
小学校3年生で体験したこと。
1つは小学生の頃、夏休みに家族で父の故郷に遊びに行った日のこと。お盆になると恒例で、親戚が集まるタイミングでした。
親戚みんなでぞろぞろと夜の繁華街を歩いていた時、赤ちゃんを抱いた若いお母さんとすれ違います。
男の子って赤ちゃんに興味なんて無い…なんてことが大半だと思いますから、視界に入っても視線が行くことなんて、当時は一度もありません。
でもあの時は、抱っこされている赤ちゃんと目が合って、なおかつ覇気のない疲れ切った母親も気になったんです。
目線も空気感も不自然。
視線が合った赤ちゃんの目はクリクリと大きかったんですが、なんか子どもの目とは違う気がしました。
うまく説明できませんが、意思のはっきりした何か言いたげな目とでも言うのでしょうか。
普通、赤ちゃんってあちこちに目線が移りがちだと思うんですが、目が合った瞬間から瞬き1つせず、ずっとこちらをロックオン状態。
そして母親のほうも、一言で表すなら”疲れ切って覇気が無い”としか言えませんが、暗いオーラが独特で、なにかが妙でした。
これもうまく説明できないのですが、生物なら必ず発している熱が無いというか、物理的な塊感が無いというか。まるでホログラフのように実体を感じさせないんです。
下をうつむいて赤ちゃんを抱っこする母親と、こちらを凝視したままの赤子が確かに歩いてきて、すれ違ったはずでした。
みんなに聞く。
あまりに違和感だったので、周りにいる大人達(親戚のおじさん達)に知らせてみることに。
「今の人、大丈夫かなぁ?」と感じていたことをそのまま口に出してみました。
しかし親戚一同、なに言ってんの?みたいな空気感。すれ違った親子のことを一生懸命に説明しても「誰ともすれ違ってないよ」としか返ってきません。
たしかに振り返っても誰もいませんでした。
一本道なので、どこかの店に入ったとかかも!?と思いましたが、見渡してもそんな気配はありません。
それらしき親子はいなかったんです。
気を使う伯父さん。
気を使ってのことか、1人のおじさんが「そういえば、いたかもな!」と言ってくれました。しかし容姿などを照らし合わせても噛み合いません。
いよいよ説明を諦めた自分の元に、同年代の親戚の子がこそこそと歩み寄り、小声で「あれは多分、誰も見てないよ。」と言ってきます。
“あれは”って言葉が印象的でしたが、子どもだった自分にはその単語に隠された意味は判らず「見たの!?」とだけ聞き返したのを覚えてます。
その子は黙って頷いてから「みんな見えてないと思うから聞いても意味ないよ。」と言って、不安な表情をしていました。
ちなみに高校生くらいになってから、彼にこの出来事を覚えてるか確認したら、ちゃんと覚えてました。
小学校4年生の時に見た人。
他には”見えたものが違った時”もあります。
夏休みに友達数人と出かけ、バスに乗った時も先ほどの親子と同じような、何か違和感を感じる人に会いました。
バスの後ろのほうでただただ座っている乗客の1人なんだけど、覇気はなく、疲れ切ったようなボーッとした姿が非常に印象的。
周囲の人に見えているのかも判らないけど、乗り降りする人達を視線で追っていたのは確かです。
なんだか暗い雰囲気をまとった50歳くらいの女性。右手にはハンカチらしき布をくしゃっと握っていました。
友達に確認してみることに。
友達はワイワイ談笑していましたが、自分は数メートル後ろに座ってるその人が気になって、あまり会話に集中できず。
目的地のバス停で降りる時、その人をチラッと見た際ばっちり目が合ってしまい、慌てて視線を逸らします。
バスを降りてから、車内に残るその人をチラッと確認してみると、女性は無表情でじっとこちらを見ていました。
周りの友人に「あの人、知り合いじゃないよね?」と話すと、みんなが一斉にバスのほうを見ます。
指はささずとも「後ろの席の人」とだけ伝えればわかるくらい、乗客は少なかった車内。指を指すのは怖かったのもあります。
自分だけが見てるわけじゃない!と辻褄を合わせたかったんです(^^;) なんか、とにかく確認したかったんですよ。
みんな違った。
1人は「あのサラリーマン?」と言うし、1人は「背の高いお婆ちゃんでしょ?」と言う。誰も情報が一致しません。
みんな適当に話を合わせてるだけなのか?そう思いました。
しかし「乗り降りする人をじっと見てた後ろの席の人でしょ?」と一致する内容を話す友達が1人。
思わず「あのおばさん知ってる?」と飛びつくように聞きました。しかしその友達は「おばさん?高校生くらいの女の人でしょ?制服着てたじゃん。」と答えます。
必死に記憶を再生しましたが、いや、制服着たお姉さんなんていなかった。やっぱり見間違えなのか?と自分を疑い出した時、友人が続けます。
「ハンカチ握ってた人でしょ?後ろから2列目の。左側の。」という言葉に、同じ人だと確信しました。でも絶対に若くないし、制服も着てなかったはず。
というか、後ろにはその人以外いなかったので、みんな誰を見ていたんだろう。
見ているものは同じなのか?
結局、何度も情報を照らし合わせても人物像だけが一致しません。なぜ?見てるものが違う?そんなことが過去に数回あります。
同じ景色を見ても、見ているところが違ってる…なんてのは当たり前。しかし、そんな常識レベルの話ではありません。
もしかしたら目の前にある「行田市駅」という文字さえも、自分の見ている形と他の人の見ている形は違うかもしれません。
試しに書き出してもらっても、自分にはいつもの字体に見えるから気付かない…。そんなことがあっても不思議じゃない。
そういう感性を植え付けるキッカケになったのは、こういう出来事だったのかもしれません。夏の終わりにピッタリのエピソードかな…と暴露してみました(^^)
次回更新日:10月4日
【アイビー探偵】
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